子育てのお金や老後資金の準備のために、新NISAで気軽に投資を始められるようになりました。しかし、いざ新NISAを始めたいと思っても「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つの選択肢があり、どちらを選べばいいの？と、つまずいてしまう人も多いかもしれません。
結論、投資初心者はつみたて投資枠がおすすめです！リスクが少なく、安定した資産作りに適しているため、まずはつみたて投資枠にしておけば間違いありません。一方の成長投資枠は、リスクや投資の難易度が少し上がりますが、ハイリターンも狙えるという特徴があります。
二つの枠は併用できるため、上手に使い分けると、効率よく資産を増やすことができます。この記事では、二つの投資枠の違いや、それぞれどのような人に向いているのかを分かりやすく解説します。
新NISAの二つの投資枠について理解すれば、ご自身にピッタリの投資法を選択でき、将来の資産作りを始めることができますよ。
著者プロフィール
中村 健
SPJ編集長 資産運用の専門家
シンガポールに長年住んでおり、海外のプライベートバンクを活用した富裕層が行う資産運用、資産防衛に精通している。
世界各国の複数のプライベートバンカーと定期的にミーティングをして最先端の情報や資産運用ノウハウを入手することで、十分な資産所得(リタイアメントインカム)を確保して、悠々自適に暮らしている。
様々な国を旅してきおり、訪れた国は45ヵ国を越える。
新NISAの基本構造をおさらい
2024年から新NISAがスタートし、以前のNISAに比べてより使いやすくなりました。新NISAの基本構造を改めておさえておきましょう。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」
新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という二つの投資枠が用意されています。どちらも少額から始められ、投資で得た利益や配当などが非課税になります。それぞれの枠で投資額や投資方法、対象商品などに違いがあります。
どちらの枠も併用できる
新NISAでは二つの投資枠を併用することができます。つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資が目的でリスクを減らしながら安定した資産形成することを重視しています。大きなリターンは期待できませんが、コツコツと確実に増やすことを目指します。
成長投資枠は長期投資のほか、中短期での売買による利益や配当金狙いの投資も可能です。つみたて投資枠に比べて自由度の高い投資ができるのが魅力です。
ご自身に合った投資方法や投資目的に沿って二つの枠を組み合わせることで、守りと攻めの投資が可能になります。では、それぞれの投資枠には具体的にどのような違いがあるのでしょうか？次の章で詳しく解説していきます。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の違い
それぞれの投資枠の主な違いは三つです。ご自身の投資スタイルに合った「枠」を見つけるために参考にしてください。
年間投資枠の違い
新NISAは投資できる額が決まっており、二つの投資枠でそれぞれ投資できる額に違いがあります。つみたて投資枠は年間120万円まで投資が可能、一方の成長投資枠は年間240万円までです。二つの投資枠をあわせると、年間最大360万円までのでの投資枠があります。
非課税保有限度額は生涯で1,800万円まで。つみたて投資枠だけで1,800万円の限度額を使い切ることができますが、成長投資枠は最大1,200万円と上限があります。
新NISAでは、 投資した商品を売却すると、その分の枠が翌年からまた使えるようになります。
（例）1,800万円まで投資した状態でそのうち500万円分を売却すると、翌年以降、空いた500万円分の枠を再利用して新たに投資が可能です。
投資方法の違い
つみたて投資枠は、文字通り投資額を積み立てていく投資法です。一度設定すると毎月自動的に積み立てでき、手間がかかりません。長期運用を目的としているため、短期の値下がりを気にする必要がありません。
成長投資枠は積立購入のほか、一括購入も可能です。価格が下がったタイミングで購入し、上がったら売却するなど、売買の差額で利益を狙う短期トレードも可能になります。短期で大きな利益を得られる可能性がありますが、逆に大きく損失を出してしまうこともあります。
対象商品の違い
つみたて投資枠の対象商品は金融庁が厳選した投資信託や一部のETFに限られています。購入や運用にかかる費用が低く、長期で投資するのに適している商品のみとなっています。
成長投資枠は投資信託のほか、ETFや個別株など対象商品が広がり、さまざまな商品に投資することができます。つみたて投資に比べてより多くの商品から選択可能です。
つみたて投資枠：金融庁が「長期・積立・分散投資」にふさわしいと認めた投資信託。（運用コストが低い、毎月積立に適している、長期的に安定した運用を目指せる商品）
成長投資枠：上場株式やETF、個別株も対象になるため、投資の自由度が高い。
注意点としては、新NISAでは毎月分配型投資信託を購入することはできません。購入ができない理由に関してはこちらの記事で解説していますので、参考にしてみてください。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」はどんな人に向いている？
二つの投資枠の特徴を踏まえて、それぞれの投資がどのような人に向いているか解説します。ご自身のスタイルに合った枠を選ぶと、より投資の効果を得られやすくなりますよ。
投資初心者・時間がない人は「つみたて投資枠」から
投資初心者なら、まずはつみたて投資枠を選ぶのがおすすめです。つみたて投資枠で選択できる商品は、国が定めた厳しい条件をクリアした商品に限られているため安心です。
値動きをみて売買する必要もなく、自動的に積み立てできるため、購入の手間もかかりません。日々仕事や家事に忙しいという人でも時間をかけずに投資ができ、ある程度ほったらかしでも問題ありません。
投資経験がある人・短中期の利益も狙いたい人は「成長投資枠」も
投資経験がある人や、もっと利益を狙ってみたい人は、成長投資枠も活用してみると良いでしょう。つみたて投資枠ではリスクが低い分、安定しているため大きな利益は期待できません。つみたて投資枠だけでは物足りない人や、短中期で利益も得たいという人は成長投資枠も活用してみるとよいでしょう。
しかし、短中期で利益を狙うには、常に値動きを確認しながら、タイミングを見て自身で売買しなければいけないため、経験や知識が必要になります。まずはつみたて投資枠から始めてみて、余裕資金があれば成長投資枠での取引もチャレンジしてみるとよいでしょう。
新NISAの投資先の選択肢として有名なのが「オルカン」といえるでしょう。オルカンに関してはこちらの記事で解説していますので、併せてチェックしてみてください。
将来に備える資産形成を考えよう
新NISAでは、投資初心者でも安心して始められるつみたて投資枠と、もう少し利益を狙ってみたいという人に向けた成長投資枠の二つの枠があります。年間投資枠、投資方法、投資商品に違いがあるため、それぞれの特徴を理解して、ご自身の予算や目的にあわせて資産形成をしていきましょう。
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