ファンドラップは複雑な金融商品のため金融庁も注意喚起しているものですが、近年金融機関が力を入れて販売しているので、よく知らないまま金融機関の口車にのらないようにしっかりと学習していきましょう。
ファンドラップがどういうものか知りたいです!
わたしも、前から興味はあります。
・ファンドラップがまだ、ぜんぜんわからない
・ファンドラップに少し興味がある
・ファンドラップを検討している!
ファンドラップの説明からメリットやデメリットまでわかりやすく解説しますので、ぜひこちらの記事をご活用ください。
プライベートバンクでファンドを使っているわたくし中村が、解説いたします!
金融商品は内容がわかりにくいものも多く、投資家の方たちもつい印象や勘や担当者との相性などで決めてしまうときもあります。
そして言われるがままに買ってしまい結果、数年経って気づいたら、そんなに儲かっていないなど金融商品あるあるです。
金融商品の構造として、複雑であれば複雑であるほど出資者には判断がつきにくく、なぜ複雑かというとそれは金融機関が儲かるような構造になっている場合が多いものです。
ですので、よりシンプルなもの、ご自身が理解できる金融商品がおすすめです。これを1つ頭の片隅に置いて、以降の記事を読み進めてもらえればと思います。では、ファンドラップについて解説いたします。
ファンドラップとは?
皆さんの中でもファンドラップが気になる方もいらっしゃるでしょう。ただ、ファンドラップを始める前に、どんな商品かを知ってから始めたいですよね。
金融商品は複雑で分かりにくいことが多いため、しっかりと中身を理解した上で始めることが重要です。
ファンドラップとは?
ファンドラップとは、Fund(投資信託) Wrap(包む)という意味の、金融機関が顧客の代わりに資産の運用や管理を行うサービスを指します。
顧客の投資目的や投資期間に応じて金融機関が適切な投資方針を決め、資産配分や適切な投資先ファンドの選定を行います。
これにより、顧客は資産運用の専門家に運用を「おまかせ」することができ、自ら運用を管理する手間がかかりません。
ファンドラップは一般に最低投資金額が高額であり、そのためサービス自体が主に富裕層向けとなっています。
ファンドラップの種類
ファンドラップにはいくつかの種類があり、例えば、リスクを抑えて安定的なリターンを狙う商品や、積極的にリスクを取って大きなリターンを狙う商品などがあります。
また、投資家が支払う投資顧問報酬には「固定報酬型」と「成功報酬型・成功報酬併用型」があり、それぞれ手数料率が異なります。
固定報酬型は運用資産の時価評価額に対して固定の手数料がかかり、成功報酬型は利益に応じて手数料が発生します。
固定報酬型 | 成功報酬型・成功報酬併用型 |
---|---|
・たとえば常に手数料は2%というようにパーセンテージが固定されている | ・運用資産の時価総額に対して手数料がかかる・固定報酬型に比べて手数料が安いが、超過収益(利益)に対しても手数料がかかる |
ファンドラップがひどいと言われる理由は?
ファンドラップがひどいといわれる理由は、運用コストが高いことです。
主なコストにはファンドラップ手数料(投資顧問報酬)、運用管理費用(信託報酬)、信託財産留保額などが含まれます。
これにより、ファンドラップを利用する手数料と、投資信託を保有するコストが二重に発生し、年率1~3%前後のコストがかかります。
運用コストが高いため、一部の顧客はリターンよりもコストが上回る可能性があります。
・ファンドラップ手数料(投資顧問報酬)
・運用管理費用(信託報酬)
・信託財産留保額
コストが、たくさんありますね。
そのとおりです。ファンドラップはコストが高いのです。
ファンドラップは金融庁から目をつけられてる?!
金融庁はファンドラップについて注意喚起を行っていますが、それはなぜか。その理由から見ていきましょう。
金融庁が注意喚起するポイント
金融庁が注意喚起するポイント① ファンドラップは金融機関にお任せする対価として、投資一任報酬を顧客が負担する
ファンドラップを提供する金融機関は、顧客に希望などをヒアリングしたうえで、それに沿った資産配分や商品選択、配分見直しを行い、その対価として資産残高に応じた投資一任報酬を徴収しています。
投資一任報酬とは、顧客が金融機関に資産運用をおまかせし、その対価として報酬を支払う仕組みです。
金融庁が注意喚起するポイント② 投資一任報酬以外にも投資信託の信託報酬が別途かかるため、年間コストが一般の投資信託より平均で0.7%高い
さらに、ファンドラップで運用される投資信託の信託報酬がかかるため、年間コストが一般の投資信託よりも高くなることが指摘されています。
金融庁によると、ファンドラップの平均年間コストは2.2%に達すると言われています。これに対して一般の投資信託は1.5%程度であることから、コスト面での差が生じます。
10年 | 20年 | 30年 | |
ファンドラップ | 761万円 | 1,160万円 | 1,768万円 |
一般の投資信託 | 814万円 | 1,326万円 | 2,160万円 |
将来資産の差額 | 53万円 | 166万円 | 392万円 |
30年で約400万ほどの差額が出てしまいます。10年でも50万円です。ここからもわかるとおり、コストが将来資産に与える影響はかなり大きいと言えます。
金融庁は長期投資を目指す場合、年間の手数料が運用成果に大きな影響を及ぼす可能性があると述べています。ファンドラップと他の商品を比較し、手数料が提供されるサービスや運用成果の対価が適正であるかを確認することが重要です。
金融庁が注意喚起するポイント③ 顧客利益を優先した方が金融機関にとっても安定的な収益基盤の構築にもつながるため、改善が必要と見ている
投資信託の中身を見ると、ファンドラップを販売する金融機関と投資信託を運用する会社が同系列という事例が5割前後を占めており、なかには7割ちかくに達する金融機関もある。
ファンドラップを提供する金融機関が、顧客よりも系列会社の利益を優先していないか不透明な部分を金融庁は懸念している。
今後の課題と対応策
以上のように、金融機関は短期的な利益を優先させるあまり、顧客の安定的な資産形成のための業務が行われているとは必ずしも言えない状況にあります。
また、顧客は金融機関が販売する商品のリスクがどこにあるのかが分かりづらいといった「情報の非対称性」も存在します。
情報の非対称性とは・・・
情報の非対称性とは、金融機関が提供する金融商品・サービス、取引手数料が複雑で、顧客にとって実体が分かりづらく、顧客が不利益をかぶっているケースが顕著なことを指します。
簡単にいえば、金融機関のいいように言いなりになってしまうことですね。
顧客の安定した資産形成のために、金融機関は顧客のニーズや利益に真に適うサービスや良質な商品を提供することが求められている。またそのような業務が顧客の満足度にもつながり、金融機関自身の安定的な収益基盤の構築にもつながると考えられています。
まだまだ課題があるということですね!
金融庁は長年注意喚起をしていますが、金融業界はなかなか変わらないようです。むしろ販売にどんどん力を入れているようですね。
金融庁がこれほど注意喚起をしているのに、なぜ金融機関はファンドラップに力を入れるのか?
金融庁が長年注意喚起をしているのに、なぜ金融機関はコストを下げるなど姿勢を変えないのでしょうか?ズバリ、答えは儲かるからです!誰が儲かるのか?もちろん金融機関です。
当然、金融機関も利益を出さないといけないのは理解できますが、金融機関にとって儲かる商品だから販売に力を入れているというのは、顧客からすると注意が必要です。
金融庁に目をつけられているはずですね!
ファンドラップのメリットとデメリット
ここまで見るとファンドラップは、デメリットしかないのではないかと思われるでしょうが、ここではメリットにも目を向けて、ファンドラップのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリット
ファンドラップのメリットその① プロのファンドマネージャーが資産運用を担当してくれる
投資一任契約により、顧客にあった運用をしてくれる。はじめに顧客のニーズなどをヒアリングしてくれ、顧客ごとのリスク許容度などに応じて運用方針を変えてくれます。
ファンドラップのメリットその② よくわからなくてもお任せできる
投資一任契約とは、金融機関にすべてをお任せしますよということです。投資一任契約を結ぶことで金融機関は独自の判断で運用方法を変更することができます。
柔軟に対応することでリスクを避けれるときもあり、顧客にとってはお任せしているので運用自体に手間も労力もかかりません。
デメリット
ファンドラップのデメリットその① 二重のコストがかかる
銀行や証券など金融機関に投資一任契約の報酬と、さらに投資信託に信託報酬を支払うという二重のコストがかかる。
一任報酬約1.5%と信託報酬約1%、2つあわせて合計約2.5%ほどのコストがかかります。他の投資信託に比べて手数料が高く、運用コストがかかると言えます。
ファンドラップのデメリットその② 特別な運用をするわけではない
顧客は先入観でなにか特別な運用をしてくれるのではと思いがちですが、実はファンドラップで特別な金融商品は使っていません。
実は誰でも買える投資信託を組み合わせているだけなのです。
5年シャープレシオで見た場合でも、「資産運用業高度化ブログレスレポート2021」によれば、一般のバランス型ファンドは0.37。一方ファンドラップ専用ファンドは0.25となっています。
シャープレシオとは・・・
シャープレシオとは、効率よく運用できているかをはかる指標で、同じ投資対象のファンドであれば、数値が高いほどリスクから得られるリターンが大きく、運用効率がよいことを表す。
5年シャープレシオとは、5年以上の期間で算出されたシャープレシオのこと。
一般のバランス型ファンドの方が良いのね。
そうですね。ファンドラップのシャープレシオの方が低いですね。
ファンドラップの実態
これまでで、おおよそファンドラップの内容はご理解いただけたかと思います。ファンドラップはコストが高く、コストが高いせいでリターンもそれほどお得ではない商品という実態が見えてきました。
金融機関が簡単に儲かるので、金融機関にとってはおすすめの商品となっているわけですね。
ファンドラップを買うくらいなら、他の投資信託や各社のラップ型ファンドを買う方がコストも安いしパフォーマンスも良いです。
ファンドラップは、ヒアリングを通じオーダーメイドの運用をするのがセールスポイントですが、実態は高コスト低パフォーマンスのバランス型ファンドになっていて、高い手数料を支払ってまで買う価値は見出せません。
金融機関からすれば簡単に儲かる「ドル箱」金融商品ですが、顧客からしたら今のところ買う理由は1つも見当たりません。今後コストの大幅な改善があれば、検討の余地があるかもしれませんが・・・
たしかにひどいかも・・・
わたしは、おすすめはしません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ファンドラップはひどいという噂の真意を確認してきましたが、金融機関による金融機関のための商品ということが見えてきました。
ファンドラップがひどい、と言うよりは金融機関がひどいということも見えてきました。
ファンドラップのここがひどい!
- コストが高い
- コストが高いせいもあり低パフォーマンス
- 儲かるのは顧客ではなく、金融機関
- 金融機関はファンドラップ販売に力を入れている
- 実際ファンドラップの販売は伸びている
たいしてファンドラップについて調べもせず、金融機関の言いなりになったら数年後に後悔するような商品ですね。
ここまでお読みいただいた方はファンドラップの内容についてご理解いただけたかと思います。あなたの大切な資産ですので、投資も内容を把握したうえで決断することをおすすめいたします!
では、次回をお楽しみに!最後までお読みいただきありがとうございました!