株式市場が閉まった夜間にも株が取引できる「PTS取引」。忙しいサラリーマンや、日中に時間が取れない人にとって魅力的な仕組みです。
しかし、「PTSは参考にならない」「PTSの株価はあてにならない」といった声も上がっています。せっかく便利な仕組みでも、信用できないなら使いにくいですよね。
では、PTS取引にはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか? この記事では、PTS取引の基礎知識からメリット・デメリットまで、初心者にもわかりやすく解説します。
- PTS取引の基礎知識
- PTS取引のメリット・デメリット
- PTS取引の注意点
PTSとは?PTS取引の基礎知識

昼間自由に時間が使えないサラリーマンは、夜間に取引できたらいいのにと思ったことはありませんか? ここでは株式市場の取引時間外に株式売買できるPTS取引の基本を詳しく解説します。
PTS取引とは何か

PTS取引とは、株式市場の取引時間外に行われる取引のことです。PTSは「私設取引システム(Proprietary Trading System)」の略です。東京証券取引所のような公的な市場ではなく、証券会社が運営するプラットフォームを利用します。
PTS取引可能な証券会社

PTS取引を利用するには、まず証券会社に口座を開設する必要があります。2025年6月現在、夜間のPTS取引を取り扱っている証券会社は以下の3社です。
- SBI証券
- 楽天証券
- 松井証券
「夜間」の時間帯は証券会社によって違いますが、各証券会社の取引可能時間帯は次のようになっています。
一般的な株式取引との違い

PTS取引と東証取引では、取引の仕組みが大きく異なります。東証取引では、証券会社は投資家の注文を東証に集約し、東証で他の投資家との注文を照らし合わせて約定を成立させます。つまり、東証取引では証券会社は注文の仲介役をします。
一方、PTS取引では、証券会社が独自に運営するシステム上で、投資家の注文を直接照らし合わせて約定を成立させます。東証とは異なり、PTSでは証券取引所が介在しないため、証券会社の顧客同士で直接売買します。

顧客同士で直接やり取りするって、なんだかリスクが高そうだけど大丈夫?



では、PTS取引のデメリットを詳しく説明しますね。
PTSはあてにならない?PTS取引のデメリット


一般の株式投資とは違うリスクがあるので、PTS取引を利用するには注意が必要です。ここでは、PTS取引のデメリットについて解説します。
流動性リスク


PTS取引は東証市場に比べると利用者が少ないため、希望する価格で売買が成立しにくい場合があります。特に出来高の少ない銘柄や、PTS取引開始直後の時間帯などは、流動性リスクが高くなります。東証取引では1日に数百万株から数億株の出来高を記録する銘柄も珍しくありません。
一方、PTS取引では出来高が数千株から数万株程度しかない銘柄も多く存在します。このような出来高の少ない銘柄の場合、売買希望者が少ないため、希望する価格で売買が成立しにくくなります。
また、PTS取引の開始時間が東証の取引終了後すぐであるため、取引開始直後は流動性リスクが高くなります。数分したら東証市場で売買できるなら、そちらを選ぶでしょう。そのため売買希望者が少なく、流動性が低い状態が続くのです。
取引時間外の価格変動


PTS取引の価格は通常の取引時間内の価格と異なる場合があります。経済や政治に関する重要なニュースが発表されると、取引時間外であっても価格変動が発生する可能性があるためです。
時間外取引の心理的負担


常に相場を意識したり、ニュースを常に追ったりしていると、ストレスや疲労がたまります。人によっては夜に冷静な判断ができるか自信がなかったり、早朝や深夜にも取引が可能なので、生活リズムが乱れたりするでしょう。
このように睡眠不足や体調不良になると、冷静な判断ができなくなり損失を被るリスクが高くなります。
実は便利?PTS取引のメリット


日中は仕事などで忙しくて東証取引時間内に取引できない人や、海外市場の動向に合わせて夜間に取引したい人にとって、PTS取引は非常に便利です。ここではPTS取引のメリットについて解説しましょう。
夜間取引の利便性


夜間取引の最大のメリットは、時間的な制約がないことです。日中は相場を見られないサラリーマンや、主婦の方でも、夜間に取引できます。
サラリーマンにとって、夜に取引できるのは有難いですよね。また、子育て中の主婦にとっても、子供を寝かせてからゆっくり取引できるので嬉しいのではないでしょうか。
仕事が終わった後や、家事が一段落した後など、自分の都合に合わせて取引ができるのは便利ですね。
投資機会の拡大


PTS取引が投資家にとって魅力的な理由の一つは、重要なニュースや企業の決算発表があった際、迅速な情報収集と投資判断ができるため、チャンスを逃さずに取引できる点です。
決算発表の結果が良ければ、東証が開くのを待たずに株を買えるということですね。決算発表に限らず、大きなニュースが飛び込んできたときにすぐに対応できるのはメリットといえるでしょう。
安値での取引が可能


夜間取引では売買希望者が少ないため、取引価格が安くなることがあります。これは、特に流動性の低い銘柄においてみられる傾向です。投資家が少ないため、価格変動が大きくなり、安値で買えるチャンスが広がります。
つまり、狙っていた株が安く買える可能性があるということです。たとえば、企業業績の悪化などのネガティブなニュースが夜間に発表された場合、十分な情報収集ができない投資家は、必要以上に安値で売ってしまう可能性があります。
底値で買えるチャンスなので、ニュースや企業情報などをこまめにチェックしましょう。
失敗しないために!PTS取引する際の注意点


PTS取引の株価は東証取引とは異なる場合があります。ここではPTS取引する際の注意点について解説します。
PTS取引の株価の信用性


PTS市場は東証市場とは異なり、参加者が個人投資家に偏っている傾向があります。そのため日中取引に比べて流動性が低く、価格変動が大きくなりやすいという特徴があります。
流動性が低いということは、参加者が少ないということです。参加者が少ないと一人の投資家の影響が大きくなるのです。
たとえば、ある銘柄がPTS市場において100円で取引されている場合、1人の投資家が1,000株の買い注文を出すだけで、101円、102円と価格が上昇していく可能性があります。しかし、東証市場であれば、1,000株程度の注文では、価格が大きく変動することはないでしょう。
値動き


PTS市場は東証市場に比べて流動性が低いため、値動きが大きくなりやすいという特徴があります。値動きが大きいとリスクが高まります。短期間で大きな利益を得られる可能性がある一方で、損失も大きくなりやすいというリスクがあるのです。
実際に取引してみると、東証市場では考えられないような値幅で上下する銘柄もありました。私は顧客に株投資についてアドバイスしていますが、私自身がPTS取引している際に、ある銘柄が急騰しているのを目撃したことがあります。
東証市場での前日終値は200円だったのに、PTS市場では300円まで値上がりしたのです。この銘柄は夜間に市場予想を上回る好業績を公表したため、PTS市場で買い注文が殺到したと考えられます。
このように、PTS取引では値動きが大きくなることがあるので注意が必要です。
投資家の属性


PTS取引で株価の変動が激しいのは、投資家の属性によるものと考えられます。東証市場には機関投資家や個人投資家など、さまざまなタイプの投資家が参加している一方で、PTS取引では個人投資家が多いという傾向があります。
個人投資家は短期的な利益を求める傾向があるため、個人投資家が多いと株価が変動しやすくなるのです。
たとえば決算発表で好材料が出た場合、多くの個人投資家がその銘柄を買おうとし、株価が急騰しやすくなります。逆に悪材料が出た場合には、その銘柄を売ろうとし、株価が急落しやすくなります。
まとめ


この記事では、PTS取引について詳しく解説しました。PTS取引は、通常の取引時間外に株式を売買できる便利なシステムであり、多忙な方にとって大きな魅力です。
重要なニュースや企業の決算発表に迅速に対応できるため、投資機会が広がるでしょう。一方で、PTS取引にはリスクや注意点も存在します。
取引時間外の市場は流動性が低いため、価格変動が大きくなることがあり、心理的な負担も増えます。これらのリスクを理解し、冷静に判断することが重要です。



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