最近の金利上昇で債券に注目が集まっています。株式投資にくらべてリスクが低いし、債券投資を始めてみたいと思っている人が増えています。
最近金利が上がっているから債券に興味があるんだよね。だけど何から始めたらいいのかわからないよ。
そんなあなたに、今日は債券投資の基礎知識から、種類別の特徴、購入方法まで、わかりやすく解説するよ!
- 債券の種類がわかる
- 債券の仕組みがわかる
- 債券投資のメリットとデメリットがわかる
- 債券投資の注意点がわかる
債券投資の基礎知識
債券って個人でも買えるの?
債券の仕組みってどうなっているのかな。
債券投資を始めるためには、債券の基本を学ぶ必要があるね。
ここでは債券とは何か、どういった仕組みなのか、投資することでどのようなメリットやデメリットがあるのかについて詳しく解説します。
債券とは何か
債券は国や地方公共団体、企業などが資金調達のために発行する有価証券の一種です。いわば、お金を借りる際の借用証書のようなものですね。
債券を購入するってことは、僕が国にお金を貸すってことなんだね!
そうだよ。お金を貸すんだからその見返りに利子をもらうってわけだよ。
債券の仕組み
投資家は債券を購入することで、国や企業に資金を貸し、その対価として利息を受け取れます。債券には満期日が設定されており、満期日になると、債券の発行者は投資家に対して元本を返済します。
元本は保証されているの?
そうとは限らないよ。債券の元本が保証されているかどうかは、債券の種類によって異なるんだ。
一般的には、債券は元本保証されていません。つまり、発行体が破綻した場合、投資家は元本を失う可能性があります。
しかし国債や地方債など、政府系機関が発行する債券は比較的安全性が高く、元本が返済される可能性が高いといわれています。
発行体って何?
発行体は債券を発行する主体のことだよ。具体的には国、地方自治体、企業などが発行体になるんだ。
だから、債券を購入する際は、債券の種類をよく理解することが大切なんだ。資産運用のプロである私の意見としては、債券投資が初めての人には国や地方公共団体の債券をすすめるよ。
元本保証の可能性が高く安全だからね。
債券投資のメリット
債券投資には、以下のようなメリットがあります。
- 安定的な利息収入を得られる
- 株式投資に比べてリスクが低い
- 分散投資に役立つ
債券は発行体が投資家に対して定期的に利息を支払う約束をした証券です。基本的に償還期限まで保有すれば、あらかじめ決まっている利息を受け取れます。
政府や公的機関、高信用力の企業が発行する債券であれば、債務不履行のリスクが低く、元本が保証されていることが多いです。
日本やアメリカがつぶれるなんて考えられないもの。
国が発行する国債はリスクが低いね。
債券は株式と比べて値動きが小さい傾向があります。債券の利息はあらかじめ契約で定められているため、業績や景気に影響されません。
一方株式は、企業の業績によって左右される配当金と、株式売却による収益で利益を得るので業績や景気の影響を受けます。そのため株式の値動きは大きくなります。
不景気になっても、あらかじめ利息が決められているから安心なんだね。
債券と株式は値動きが逆方向に動くんだ。そのためポートフォリオに債券を組み入れると、全体のリスクを分散できるね。
プライベートバンカーである私の顧客Aさんの例を紹介しよう。
Aさんは投資歴10年ほどの個人投資家で私がすすめたさまざまな金融商品に投資しているんだけど、おもに債券と株式を組み合わせてリスク分散しているんだ。
2020年新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、世界経済は大きな混乱に陥ったよね。株式市場は軒並み下落し、Aさんが保有する株式も大きな損失を被った。
しかしそんな中でも債券は比較的安定した値動きを保ち、全体的な損失を抑制したんだ。Aさんは株式だけでなく債券投資もしておいてよかったと言っていたよ。
個人向け国債の種類と特徴
債券投資を始めるには、リスクの低い国債がいいわ。
国債も種類によってリスクが変わるのかな。
リスクが低い国債は魅力だよね。国債には種類があって投資期間やリターンに違いがあるんだよ。
具体的にどのような違いがあるのか、それぞれの特徴と合わせて解説しよう。
個人向け国債
個人向け国債には、3種類のタイプがあります。固定3年、固定5年、そして変動10年です。
固定とか変動って金利のこと?
そうだよ。固定は発行から満期まで金利が固定されているっていう意味なんだ。
固定3年は投資期間が短く、金利の変動リスクが少ないため初心者にとっては安心して投資できます。固定5年は投資期間が5年と長くなり、3年物よりも高い利回りを期待できますが、資金の流動性が少し低くなります。
投資期間が長いほど金利も高いんだね。
より長い期間、資金を運用する対価として支払われるためだよ。
変動10年は半年ごとに金利が見直されるため、金利上昇期には有利です。ただし長期にわたる投資が必要となるため、長期的な視点での資産運用が求められます。
10年先どうなっているのか予想しにくいものね。
そのため途中で金利の見直しがあるんだね。
プライベートバンカーの観点から私は変動10年をすすめているよ。金利の見直しがあるから途中で金利が上がっても、その恩恵を受けられるからね。
実際すでに金利は上昇しているんだ。顧客のBさんの例を紹介するね。Bさんは2021年に変動10年の国債を購入したんだけど利率は0.07%、0.17%、0.33%と上がり続け、もらえる利子が増えたそうだよ。
このように金利の見直しがあるから投資のタイミングを計る必要がないんだ。
社債
社債は企業が事業資金を調達するために発行する債券のことです。投資家は社債を購入することで企業に資金を貸し付け、その対価として利子を受け取ります。満期時には元本が返済されます。
社債にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは以下の3つです。
- 固定金利債: 利率が満期まで変わらない債券
- 変動金利債: 利率が市場金利に連動して変動する債券
- 転換社債: 満期時に株式に転換できる権利を持つ債券
固定金利債と変動金利債はわかるけど、転換社債って何?株式に転換できるってどういうこと?
転換社債は債券として利子を受け取るだけでなく、株式に転換することで株価上昇による値上がり益を得られる可能性があるんだ。
転換社債の仕組みを解説しよう。投資家が転換社債を購入し利子を受け取ります。ここまでは一般的債券と同じだね。しかし転換債券は満期日までに株式に転換するか、債券のまま保有するかを判断できるんだ。
株価が上回っている場合は転換することで利益を得られるし、反対に株価が下回っている場合は債券を保有し続けることで、利回りを確保できる仕組みだよ。
外債
外国債券、つまり外債とは発行体、発行市場、通貨のいずれかが外国である債券のことです。外債には、購入時の払い込みや利子、償還金を受け取る際の通貨によって、大きく3つに分かれます。
- 外貨建債券:元本の払い込み、利子の受け取り、償還金のすべてが外貨である
- 円貨建債券:購入時の払い込みと利子や償還金の受け取りがすべて日本円である
- 二重通貨建債券:購入時の払い込みと利子や償還金の受け取りが、二種類の通貨で行われる
利子や元本の受け取りが外貨なら、為替リスクもあるよね。
その通りだよ。外債投資は常に為替リスクを考える必要があるよ。
為替レートが円安になると外債の価値が上昇し、為替レートが円高になると、外債の価値が下落する可能性があるからね。
つまり日本株とは逆の動きをするから、この特徴をうまく生かして分散投資に役立つともいえるね。
購入方法と注意点
国債が個人で買えるなんて知らなかったけど、債券ってどこで売っているの?
株式なら証券会社だけど、債券も扱っているのかな。
債券は株式よりもリスクが低くて安心な投資の割にあまり知られていないよね。
ここでは債券の購入方法と注意点について解説しよう。
債券の購入方法
債券は銀行や証券会社の窓口で直接購入できますが、ウェブサイトやアプリならスマホから簡単に取引できます。
オンラインでの取引の方が手数料は安いのよね。
窓口での取引は担当者との相談や手続きのサポート量が含まれる分、高くなるんだ。
手数料以外にも、以下の点を考慮しましょう。
- 取引の利便性: オンライン取引は時間や場所に制約なく取引できる利便性があります。一方、窓口取引は担当者に相談しながら手続きを進められます。
- 投資経験: 初心者の場合は窓口取引で担当者に相談しながら購入するのが安心です。投資経験が豊富であれば、手数料の安さを重視して選ぶのも良いでしょう。
ご自身の投資経験やニーズに合った方法を選択してくださいね。
信用格付け
国がなくなるよりも会社が倒産する可能性はおおいにあり得ます。そこで社債に投資する際は、信用力の高い企業を選ぶことが大切です。
格付け機関が発行する信用格付けを確認し、信用力の高い企業の社債を選びましょう。
信用格付けてどうやってするのかな。
企業の信用力を調査する専門の機関があるんだ。
信用格付けとは、国や企業などの債務の返済能力を簡単な記号や数字で評価した等級のことです。格付け会社と呼ばれる専門機関が財務状況や事業の健全性などを分析し、格付けします。
主な信用格付け会社には、以下の3社があります。
- S&Pグローバル (米国)
- ムーディーズ (米国)
- フィッチ・レーティングス (英国)
各信用格付け会社によって、等級の名称や細かな区分は異なりますが、一般的には以下の様なアルファベット記号が用いられます。
- Aaa:信用力が最も高いと判断され、信用リスクが最低水準にある債務に対する格付。
- Aa:信用力が高いと判断され、信用リスクが極めて低い債務に対する格付。
- A:中上位と判断され、信用リスクが低い債務に対する格付。
- Baa:中位と判断され、信用リスクが中程度であるがゆえ、投機的な要素を含みうる債務に対する格付。
- Ba:投機的と判断され、相当の信用リスクがある債務に対する格付。
- B:投機的とみなされ、信用リスクが高いと判断される債務に対する格付。
- Caa:投機的で安全性が低いとみなされ、信用リスクが極めて高い債務に対する格付。
- C:最も格付が低く、通常、デフォルトに陥っており、元利の回収の見込みも極めて薄い債務に対する格付。
- Ca:非常に投機的であり、デフォルトに陥っているか、あるいはそれに近い状態にあるが、一定の元利の回収が見込める債務に対する格付。引用:ムーディーズ格付け
どの程度だったら投資してもいいのかな。
一般的にはA以上が安心だとされているよ。
それ以下だとリスクが高くなるので注意が必要だよ。プライベートバンカーである私の顧客Cさんの例を紹介しよう。Cさんは格付けの低い社債に手を出して、大きな損失を出したんだ。
Cさんは低金利で株式市場が低迷していたせいで、投資信託では十分なリターンを得られていなかったらしい。
そこで格付けはBだったけど業績が好調で、財務状況も安定しているように見えたD社に100万円を投資したんだ。
1年後D社は業績が悪化し、債務超過に陥りました。Cさんが投資していた社債は債務不履行になり100万円全額を失ったそうだよ。
大きなリターンが魅力だからといって、格付けの低い社債には手を出さない方が賢明です。
購入時のチェックポイント
格付けってどれくらい信用できるのかな。信用しても大丈夫か心配だわ。
投資する場合は信用格付けの他にもチェックするポイントがあるよ。
信用格付け以外にも以下のポイントをチェックしましょう。
- 利回り: クーポン利率、現在利回り、最終利回り
- 投資期間: 社債の満期までの期間
クーポン利率って何のこと?
クーポン利率は債券に記載されている利率のことで、債券の額面金額に対して毎年支払われる利子の割合をパーセントで表示したものだよ。
たとえば額面金額100万円の債券に対して、年間1万円の利子が支払われる場合
クーポン利率が高いほど、多くの利子をもらえるってことね。
社債購入の際は自分の投資目的に合った利回りか、自分の資金計画に合った投資期間かよく考えましょう。
社債投資は、企業の信用力や市場動向に応じてリスクとリターンが変動するため、しっかりとした情報収集と分析が求められます。
債券投資を成功させるには
債券投資は価格変動や金利リスクを理解することが重要です。ここでは債券価格と金利の関係、債券市場の動向、そして成功するためのコツについて解説します。
債券は最初に利子が決まっているのに、金利の変動って関係あるの?
債券は発行時に決められた利子が定期的に払われるけど、債券の価格は市場金利の影響を受けるんだ。
債券価格と金利の関係
投資家は債券だけでなく、他の金融商品にも投資できます。金利が上昇すると預貯金や他の債券の利回りが高くなるので、同じ利子しか得られない既存の債券は魅力が低下し価格が下がるのです。
また新たに発行される債券は、その時点の市場金利を反映した利回です。金利が上昇すれば、新たに発行される債券の利回りは高くるため、既存の債券は魅力が低下し、価格が下落します。
つまり債券価格と金利は逆の関係にあるんだ。
- 金利が上昇すると、債券価格は下落
- 金利が下落すると、債券価格は上昇
たとえば5%の利率の債券が市場に出回っているときに、新たに6%の利率の債券が発行されると、5%の債券は魅力が低下し、その価格が下がります。
逆に市場金利が低下して4%になると、5%の利率の債券は魅力が増して価格が上がります。
債券市場の動向と今後の見通し
日本はゼロ金利時代が続いていましたが、日本銀行は2024年3月19日にマイナス金利政策を解除する決定をしました。日本銀行による金利引き上げは17年ぶりで将来的には金利が上昇する可能性があります。
金利が上昇すると、債券価格は一般的に下落します。これは債券のクーポン率が市場金利よりも低くなるためです。
じゃあ、持っている債券の価値が下がるってこと?
その通りだよ。新たに発行される債券の金利はより高くなるからね。
日本銀行の金利政策は、今後の経済情勢や物価動向次第で変更される可能性があります。投資家は、金融市場の動向を常に把握し、適切な投資判断する必要があります。
債券投資で成功するためのコツ
債券は株式に比べてリスクが低いとわかったけど、成功するためのコツってあるの?
債券投資は株式投資に比べてリスクが低いとはいえ、損失が発生する可能性もあることは知っておいてね。その上で理解すべきことを解説するよ。
- 投資目的とリスク許容度を明確にする
- 債券の種類と特徴を理解する
- 金利動向に注意する
- 分散投資する
なぜ債券に投資するのか、その目的を明確にしましょう。資産形成、安定した収入の確保、インフレ対策など、目的によって適切な債券の種類や投資方法が異なります。
債券には国債、地方債、社債などさまざまな種類があると解説したね。それぞれの特徴が自分に合っているか考えよう。
債券価格は金利と逆方向に動きます。金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がります。金利動向を注視し、適切なタイミングで売買することが重要です。
債券の利子を受け取りたいなら、満期まで持っていてもいいよね?
債券を満期日まで保有することは、確実に利子を受け取れるところがいいよね。でも金利の動きによっては、債券価格が下落するリスクもあるんだ。
債券だけに投資するのではなく、分散投資することも重要です。国債、地方債、社債などを組み合わせたり、株式投資も視野に入れたりしましょう。
まとめ
債券投資は安定した利子を得られる魅力的な投資方法です。国債はリスクが低く、初心者にも適した投資商品といえるでしょう。
社債投資は、企業が発行する債券に投資するもので、比較的高い利回りが期待できる反面、発行体の信用リスクや金利リスクに注意が必要です。
信用格付けや発行体の財務状況をしっかりと確認し、リスク分散を図ることが重要です。債券価格と金利の関係を理解し、分散投資や長期保有を心掛ければ、債券投資は堅実に資産運用できるでしょう。
本ブログを参考にしてリスク管理しながら、債券投資を成功させてください。