ファンドラップは儲かるか?ひどいと言われる理由と金融庁が示す課題とは?

ファンドラップは、資産運用をプロに任せられる便利なサービスである一方、「ひどい」「本当に儲かるのか」といった声も少なくありません。高い手数料や運用成績への疑問、さらには金融庁が示す課題など、利用前に知っておくべき懸念点があります。

本記事では、ファンドラップの仕組みやメリット・デメリット、そして金融庁が指摘している問題点まで詳しく解説します。

こんな方におすすめ

・ファンドラップについて全然わからない

・ファンドラップの悪い評判が気になる

ファンドラップに少し興味がある

ファンドラップの利用には慎重な判断が必要なので、この記事を参考にしてくださいね。

著者プロフィール

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中村 健

SPJ編集長 資産運用の専門家

シンガポールに長年住んでおり、海外のプライベートバンクを活用した富裕層が行う資産運用、資産防衛に精通している。

世界各国の複数のプライベートバンカーと定期的にミーティングをして最先端の情報や資産運用ノウハウを入手することで、十分な資産所得(リタイアメントインカム)を確保して、悠々自適に暮らしている。

様々な国を旅してきており、訪れた国は45ヵ国を越える。

目次

ファンドラップとは?

ファンドラップとは?

ファンドラップをはじめ、金融商品は複雑で分かりにくいことが多いため、しっかりと中身を理解した上で始めることが重要です。まずはファンドラップの基本から見ていきましょう。

ファンドラップとは?

ファンドラップとは、Fund(投資信託) Wrap(包む)という意味の、金融機関が顧客の代わりに資産の運用や管理を行うサービスを指します。顧客の投資目的や投資期間に応じて金融機関が適切な投資方針を決め、資産配分や適切な投資先ファンドの選定を行います。

これにより、顧客は資産運用の専門家に運用を「おまかせ」することができ、自ら運用を管理する手間がかかりません。ファンドラップは一般に最低投資金額が高額であり、そのためサービス自体が主に富裕層向けとなっています。

ファンドラップの種類

ファンドラップにはいくつかの種類があり、リスクを抑えて安定的なリターンを狙う商品や、積極的にリスクを取って大きなリターンを狙う商品などがあります。

また、投資家が支払う投資顧問報酬には「固定報酬型」と「成功報酬型・成功報酬併用型」があり、それぞれ手数料率が異なります。固定報酬型は運用資産の時価評価額に対して固定の手数料がかかり、成功報酬型は利益に応じて手数料が発生します。

固定報酬型成功報酬型・成功報酬併用型
・運用資産の時価総額に対して手数料がかかる
・たとえば常に手数料は2%というようにパーセンテージが固定されている
・固定報酬型に比べて手数料が安いが、超過収益(利益)に対しても手数料がかかる

ファンドラップが「ひどい」と言われる理由とは?

ファンドラップが「ひどい」と言われる理由には、運用コストが高いことが挙げられます。主なコストには、ファンドラップ手数料(投資顧問報酬)、運用管理費用(信託報酬)、信託財産留保額などがあります。

こういったコストにより、ファンドラップを利用する手数料と、投資信託を保有するコストが二重に発生し、年率1~3%前後のコストがかかります。また、運用コストが高いため、一部の顧客はリターンよりもコストが上回る可能性があります。

ファンドラップにかかるコスト

・ファンドラップ手数料(投資顧問報酬)

・運用管理費用(信託報酬)

・信託財産留保額

ファンドラップ は儲かるか?金融庁が指摘する懸念点

ファンドラップは金融庁から目をつけられてる?!

ファンドラップについては、金融庁がして指摘している課題があります。その内容を詳しく見ていきましょう。

金融庁が問題視しているポイント

金融庁が問題視しているのは、次の3点です。それぞれ解説します。

金融庁が問題視しているポイント
  1. ファンドラップは金融機関にお任せする対価として、投資一任報酬を顧客が負担する
  2. 投資一任報酬以外にも投資信託の信託報酬が別途かかるため、年間コストが一般の投資信託より平均で0.7%高い
  3. 顧客利益を優先した方が金融機関にとっても安定的な収益基盤の構築にもつながる

①ファンドラップは金融機関にお任せする対価として、投資一任報酬を顧客が負担する

ファンドラップを提供する金融機関は、顧客に希望などをヒアリングしたうえで、それに沿った資産配分や商品選択、配分見直しを行い、その対価として資産残高に応じた投資一任報酬を徴収しています。

投資一任報酬とは、顧客が金融機関に資産運用をおまかせし、その対価として報酬を支払う仕組みです。

②投資一任報酬以外にも投資信託の信託報酬が別途かかるため、年間コストが一般の投資信託より平均で0.7%高い

さらに、ファンドラップで運用される投資信託の信託報酬がかかるため、年間コストが一般の投資信託よりも高くなることが指摘されています。

金融庁によると、ファンドラップの平均年間コストは2.2%に達すると言われています。これに対して一般の投資信託は1.5%程度であることから、コスト面での差が生じます。

10年20年30年
ファンドラップ761万円1,160万円1,768万円
一般の投資信託814万円1,326万円2,160万円
将来資産の差額53万円166万円392万円
500万円を年率5%で運用した場合

上の表のように500万円を年率5%で運用した場合、30年で約400万ほどの差額が出てしまいます。10年でも50万円です。ここからもわかるとおり、コストが将来資産に与える影響はかなり大きいと言えます。

金融庁は「長期投資を目指す場合、年間の手数料が運用成果に大きな影響を及ぼす可能性がある」と述べています。ファンドラップと他の商品を比較し、手数料が提供されるサービスや運用成果の対価が適正であるかを確認することが重要です。

③顧客利益を優先した方が、金融機関にとっても安定的な収益基盤の構築にもつながる

投資信託の中身を見ると、ファンドラップを販売する金融機関と投資信託を運用する会社が同系列という事例が5割前後を占めており、なかには7割ちかくに達する金融機関もあります。

ファンドラップを提供する金融機関が、顧客よりも系列会社の利益を優先していないか、不透明な部分を金融庁は懸念しています。

今後の課題と対応策

以上のように、金融機関は短期的な利益を優先させるあまり、顧客の安定的な資産形成のための業務が行われているとは必ずしも言えない状況にあります。

また、顧客は金融機関が販売する商品のリスクがどこにあるのかが分かりづらいといった「情報の非対称性」も存在します。

情報の非対称性とは・・・

情報の非対称性とは、金融機関が提供する金融商品・サービス、取引手数料が複雑で、顧客にとって実体が分かりづらく、顧客が不利益をかぶっているケースが顕著なことを指します。

簡単にいえば、金融機関のいいように言いなりになってしまうことですね。

顧客の安定した資産形成のために、金融機関は顧客のニーズや利益に真に適うサービスや良質な商品を提供することが求められています。また、そのような業務が顧客の満足度にもつながり、金融機関自身の安定的な収益基盤の構築にもつながると考えられています。

それでもなぜ金融機関はファンドラップに力を入れるのか?

金融庁が長年注意喚起をしているのに、なぜ金融機関はコストを下げるなど姿勢を変えないのでしょうか?ズバリ、答えは儲かるからです!誰が儲かるのか?もちろん金融機関です。

当然、金融機関も利益を出さないといけないのは理解できますが、金融機関にとって儲かる商品だから販売に力を入れているというのは、顧客からすると注意が必要です。

ファンドラップのメリットとデメリット

ファンドラップのメリットとデメリット

ここまで見るとファンドラップは、デメリットしかないのではないかと思われるでしょうが、ここではメリットにも目を向けて、ファンドラップのメリットとデメリットについて見ていきましょう。

メリット

ファンドラップのメリットは次の2つです。

ファンドラップのメリット
  • プロのファンドマネージャーが資産運用を担当してくれる
  • 資産運用についてよくわからなくてもお任せできる

投資一任契約により、顧客にあった運用をしてくれます。投資一任契約とは、「金融機関にすべてをお任せしますよ」ということです。投資一任契約を結ぶことで、金融機関は独自の判断で運用方法を変更することができます。

投資一任契約では、はじめに顧客のニーズなどをヒアリングし、顧客ごとのリスク許容度などに応じて運用方針を変えてくれます。また、顧客にとっては、お任せしているので運用自体に手間も労力もかかりません

デメリット

すでにご紹介したコスト面を含めて、次のような点がデメリットと言えるでしょう。

ファンドラップのデメリット
  • 二重のコストがかかる
  • 特別な運用をするわけではない

繰り返しになりますが、投資一任契約の報酬と投資信託の信託報酬という二重のコストがかかります。一任報酬は約1.5%、信託報酬は約1%と、2つあわせて合計2.5%ほどのコストです。他の投資信託に比べて手数料が高く、運用コストがかかると言えます。

また、ファンドラップでは特別な金融商品は使っていません。実は誰でも買える投資信託を組み合わせているだけなのです。5年シャープレシオで見た場合でも、「資産運用業高度化ブログレスレポート2021」によれば、一般のバランス型ファンドは0.37。一方ファンドラップ専用ファンドは0.25となっています。

シャープレシオとは・・・

シャープレシオとは、効率よく運用できているかをはかる指標で、同じ投資対象のファンドであれば、数値が高いほどリスクから得られるリターンが大きく、運用効率がよいことを表す。

5年シャープレシオとは、5年以上の期間で算出されたシャープレシオのこと。

ファンドラップの実態

ファンドラップの実態

これまでで、おおよそファンドラップの内容はご理解いただけたかと思います。ファンドラップはコストが高く、リターンもそれほどお得ではない商品という実態が見えてきました。

金融機関が簡単に儲かるので、金融機関にとってはおすすめの商品となっているわけですね。

ファンドラップを買うくらいなら、他の投資信託や各社のラップ型ファンドを買う方がコストも安いしパフォーマンスも良いです。

ファンドラップは、ヒアリングを通じオーダーメイドの運用をするのがセールスポイントですが、実態は高コスト低パフォーマンスのバランス型ファンドになっていて、高い手数料を支払ってまで買う価値は見出せません。

金融機関からすれば簡単に儲かる「ドル箱」金融商品ですが、顧客からしたら今のところ買う理由は1つも見当たりません。今後コストの大幅な改善があれば、検討の余地があるかもしれませんが・・・

まとめ

まとめ ファンドラップは確かにひどかった!

いかがでしたでしょうか?ファンドラップはひどいという噂の真意を確認してきましたが、金融機関による金融機関のための商品ということが見えてきました。

ファンドラップがひどい、と言うよりは金融機関がひどいということも見えてきました。

ファンドラップのここがひどい!

  • コストが高い
  • コストが高いせいもあり低パフォーマンス
  • 儲かるのは顧客ではなく、金融機関
  • 金融機関はファンドラップ販売に力を入れている
  • 実際ファンドラップの販売は伸びている

たいしてファンドラップについて調べもせず、金融機関の言いなりになったら数年後に後悔するような商品ですね。

ここまでお読みいただいた方はファンドラップの内容についてご理解いただけたかと思います。あなたの大切な資産ですので、投資も内容を把握したうえで決断することをおすすめいたします。

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