債券投資は投資初心者にとっても魅力的な選択肢の1つですが、株と違いなじみがないので難しいと感じていませんか?
債権って一般人でも買えるの?どんな仕組みか、よくわからないわ。
債権って株より安全って聞いたけど、ほんとかな。
債権は発行しているところによって信用度が違うんだ。債券投資は初心者にもおすすめできるから、基本的なことから解説していくよ。
- 債権について理解が深まる
- 債権と金利の関係についてわかる
- 債権の格付けとリスクについてわかる
債券投資の基本
債券投資は株式投資と比べて値動きが穏やかで、比較的低リスクで安定した運用を目指せるため、最近注目されています。
債権ってどんな商品なの?ほんとにリスクはないの?
株と比べればリスクは低いけど、債券投資にもリスクはあるんだ。債権の仕組みから解説しよう。
債券の仕組みとは?
債券投資とは、企業や政府が資金調達のために発行する「債券」を購入し、利息を得る投資方法です。借金のようなイメージを持つとわかりやすいでしょう。
投資家は債券を購入することで、発行体(債券を発行する国や企業のこと)に対してお金を貸し、その対価として利息を受け取ります。
国や企業にお金を貸して、利息をもらうってわけね。
そのとおり!債券には大きく分けて「国債」と「社債」の2種類があるんだ。
国はつぶれたりしないけど、企業は倒産する可能性があるってことだね。
そうなんだ。あとで詳しく解説するけど、社債は企業の信用力によってリスクがちがうよ。
個人向け国債と社債の違いは?
個人向け国債と社債は、どちらも債券投資の代表的な商品ですが、いくつかの重要な違いがあります。
安全性や利回りに大きな違いがあるよ。
個人向け国債は政府が発行するため、債務不履行のリスクが極めて低いです。安全性が高い投資商品として知られています。社債は企業が発行するため、業績悪化などにより債務不履行になる可能性があります。
企業の財務状況などを分析し、企業の信用力を確認しなければなりません。個人向け国債の金利は比較的低めですが、安全性が高い分、当然といえます。
それに比べて社債は企業の財務状況や信用リスクに応じて、金利はさまざまです。一般的に個人向け国債よりも高利回りな商品が多いですが、リスクも高くなります。
国債は安全だけどもらえる利息は少なく、社債はリスクがあるけど、その分利益が大きいってわけね。
個人向け国債と社債は、それぞれ異なる特徴を持っているからどちらを選ぶべきかは、投資目的やリスク許容度によってちがってくるよ。
債券投資の魅力
投資信託を中心に注目されている債券投資にも、他の金融商品と同様にリスクと魅力の両面があります。
- 比較的低リスクで安定した運用が可能
- インカムゲインを狙える
- ポートフォリオの分散に役立つ
債券は、定期的に利息を受け取れます。
この利息のことを「インカムゲイン」といいます。
資産運用のプロである私の意見としては、債券と株式とバランスよく投資するのが良いと考えているよ。債券は株式とは異なる値動きをするため、投資に組み入れることで、リスクを分散できるからね。
私自身も債券投資と株式投資を組み合わせた投資を選択しているよ。私の顧客にも同じようにすすめているんだ。顧客のAさんは40代前半の会社員で、10年以上前から債券と株式に投資している。
その結果、着実に資産を増やし、現在では約2,000万円の資産を築いたと聞いたよ。
金利と価格の関係
金利と債券価格の関係はまるでシーソーのように、金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が下落すると債券価格は上昇します。
なぜ金利が上がると債券価格は下がって、金利が下がると債券価格は上がるの?
それを説明する前に利回りと金利について、おさらいしておこう。
債券の利回りと金利
利回りと金利って同じじゃないの?
債券投資で利回りと金利はどちらも重要な指標だけど、混同しがちな言葉なので、それぞれの特徴と、2つの関係についてわかりやすく説明するね。
一般的には、年利で表示され、以下の要素によって決まります。
債権投資は投資家がお金を貸しているってことだから、利息がもらえるんだ。これに対して利回りとは以下のことをいうよ。
簡単にいうと、どれだけ儲かったかってことだよ。
債券と金利の関係
ではなぜ金利が上がると債券価格は下がって、金利が下がると債券価格は上がるのか解説しよう。
債券を購入すると、定期的に利息を受け取れます。しかし、金利が上昇すると、新しい債券の方が高い利息を得られます。そのため古い債券は魅力が薄れ、価格が下落してしまうのです。
逆に金利が下がると、新しい債券よりも古い債券の方が利息は高くなります。そうなると投資家は古い債券を購入するため、価格が上昇するのです。
そりゃあ、多く利息をもらえる債券の方がいいに決まってるよね。
将来の利息の価値
債券投資では受け取った利息を再投資することで、さらに利益を増やせます。金利が上昇すると、再投資できる利息の価値も高くなります。
つまり金利上昇時は将来受け取る利息だけでなく再投資収益も期待できるため、債券の価格が上昇する可能性があるのです。逆に金利が下がると、再投資できる利息の価値も低くなります。
将来受け取る利息だけでは十分な収益が得られないと判断した投資家が債券を売却し始めるため、価格が下落するんですね。
例えば、100万円で年利5%の利息が付いた債券を購入したとしましょう。この債券の場合、1年間で5万円の利息を受け取れます。
しかし、その後金利が10%に上昇した場合、新しい債券は年利10%の利息が付きます。5%の利息しか付かない古い債券は魅力が薄れ、価格が下落してしまうのです。
金利が3%に下がった場合は、新しい債券は年利3%の利息しか付かなくなります。5%の利息が付く古い債券は魅力が高くなり、価格が上昇するのです。
債券と株式の違い
債券と株式は、それぞれ異なる値動きをするため、投資する際の期待リターンとリスクも大きく異なります。
債券と株の収入源
債券の収入源は主に以下の2つです。
利息: 債券を購入すると発行体から定期的に利息を受け取れます。
キャピタルゲイン: 債券を額面価格よりも高い価格で売却することで、キャピタルゲインを得られます。
買った金額よりも高く売れれば儲かるのね。
株もそれは同じなんだ。株の収入源は以下の3つだよ。
配当: 株式を購入すると、発行会社から定期的に配当を受け取れます。
キャピタルゲイン: 株式を買い値よりも高い価格で売却することで、キャピタルゲインを得られます。
株も債券と同じように買った金額より高く売れれば儲かるのね。
債券は株式と比較して一般的にリスクが低いと考えられています。これは、債券の利息は契約によって保証されているためです。
一方、株式は債券よりも高いリターンを得られる可能性がありますが、リスクも高くなります。これは会社の業績によって変動するためです。
債券のリスク
債券にはどんなリスクがあるの?
債券には、次のようなリスクがあるんだ。
金利変動: 金利が上昇すると、債券の価格が下落し、額面金額よりも低い価格で売却せざるを得なくなる可能性があります。
信用: 発行体が債務不履行に陥った場合、元本が返済されない可能性があります。
為替: 外国債券に投資する場合、為替レートの変動によって損失が発生する可能性があります。
つまり企業が倒産したら元本は返ってこないってことだね。
そうなんだ。企業の経営状況が悪化したり、財政状況が破綻したりすると、債務を返済できなくなる可能性がある。そしたら投資家は元本を失うことになるんだ。
債券だから安心ってわけではないのね。
株式のリスク
株式は企業の資本の一部を購入する権利を表す証券です。投資家は株式を購入することで、会社の所有者となり、企業の利益の一部である配当金を受け取る権利を得ます。
また、会社の業績が向上すれば、株価が上昇し売却益を得られます。
でも債権よりも株の方がリスクは高いんだよね?
その通りだよ。株価の変動は債権より大きいからね。
株式にも以下のようなリスクがあります。
価格変動:株式の価格は、企業の業績や市場環境などの影響を受け、大きく変動します。業績が悪化したり景気が低迷したりすると、株価は下落し、投資家は損失を被る可能性があります。
信用:株式は、企業の資本の一部を購入する権利を表す証券です。そのため企業が破綻した場合、投資家は投資した元本を失う可能性があります。
流動性:株式は、債券と比べて流動性が低い場合があります。これはすべての株式が常に活発に取引されているわけではないためです。すぐに売却したい場合、希望する価格で売却できない可能性があります。
株式の価格は企業の業績や市場環境などの影響を受け、大きく変動するんだ。業績が悪化したり、景気が低迷したりすると、株価は下落し、投資家は損失を被る可能性があるよ。
債券の価格も金利変動などの影響を受けるけど、株式ほど大きく変動しないんだ。株式投資だけでなく債券投資も取り入れてバランスをとることが重要だよ。
信用リスクと債券価格
債券投資は比較的安全な投資手段として知られていますが、先に解説した通り債券にもリスクは存在します。その中でも特に重要なのが、信用リスクです。
信用リスクとは
信用リスクとは、債券の発行体が債務不履行に陥り、元本や利息の支払いが履行されないリスクのことを指します。
一般的に信用リスクが高い債券ほど、利回りが高くなります。投資家がリスクに見合った高いリターンを求めるためです。
高いリターンが欲しかったら、リスクも高いってわけだね。
そうだね。リスクが高い代わりに価格は安くなるよ。
債券価格と信用リスクの関係は、以下の通りです。
信用リスクが高い場合: 債券価格が下落する可能性が高い
信用リスクが低い場合: 債券価格が比較的安定する
たとえば政府のような信用力が高い発行体の債券は、債務不履行のリスクが低いため、利回りが低くなります。
一方、企業のような信用力のリスクが高い発行体の債券は、債務不履行のリスクが高いため、利回りが高くなります。投資家は、債券に投資する前に、発行体の信用力をしっかりと調査する必要があります。
格付け機関による格付けや、財務諸表などの分析を参考に、信用リスクを判断することが重要です。
格付けとは?
格付けとは、債券の発行体の信用リスクを評価し、投資家向けにランク付けしたものです。格付け機関と呼ばれる専門機関によっておこなわれ、投資家が債券投資の判断材料として利用します。
トリプルAからトリプルBまでのランクがあり、高いほど信用度が高いとされます。債券の信用リスクを判断するには、格付けを確認するのが一般的です。
格付け機関は発行体の財務状況や事業内容などを分析し、債務不履行のリスクを評価します。
格付けの種類と注意点
主要な格付け機関としては、以下の3つがあります。
- S&Pグローバル・レーティング
- ムーディーズ
- フィッチ・レーティングス
これらの格付け機関は、それぞれ独自の評価基準に基づいて格付しており、必ずしも同じ結果になるとは限りません。債務不履行のリスクが低く、比較的安全とみなされる格付けは各社以下の通りです。
債務不履行のリスクが高く、投資には慎重な判断が必要とされる格付けは以下の通りです。
格付けは、あくまでも目安であり、将来の債務不履行を確実に予測できるものではありません。投資家は格付け以外にも、発行体の財務状況や事業内容などを分析し、信用リスクを総合的に判断する必要があります。
格付けって信用して大丈夫なのかな。
どの格付け機関を信用したらいいの?
格付けは債券投資において重要な指標の一つだけど、どの格付け機関でもあくまでも参考情報として利用するのがいいね。
格付け機関によって評価が異なるし、将来の債務不履行を確実に予測できるわけではないからね。格付け以外にもさまざまな情報を分析し、信用リスクを総合的に判断することが重要だよ。
まとめ
債券投資はさまざまなメリットを持つ魅力的な投資手段です。しかしリスクを理解せずに投資すれば、損失を被る可能性もあります。
基本的な仕組みを理解することでリスクをコントロールし、安定した収益を得ることが可能です。金利と債券価格の関係を把握し、発行体の信用力を確認することが重要です。
投資を始める際には、リスクやリターンを考慮したうえで、自身の投資目標に合った債券を選択しましょう。本記事が債券投資を始める際の参考になれば幸いです。