不動産投資の中で『みんなで大家さん』が気になっている人が多いですね。最近、『みんなで大家さん』ってどうなんですか?とよく聞かれます。
みんなで大家さんは年率7%って聞いたんですけど
本当ですか?
預金感覚で始められるっていうけど
元本は保証されないんですよね?
想定利回り7%としているね。
もちろん投資だから元本は保証されないよ。
面倒な不動産管理をしないで年率7%なら、いいんじゃない?
ちょっと待って!
資産運用のプロである私からすれば
みんなの大家さんはおすすめしないよ。
それは、どうしてか詳しく説明していくね。
- みんなの大家さんについて理解が深まる
- みんなの大家さんをおススメしない理由がわかる
みんなで大家さんとは?
みんなで大家さんは、不動産投資商品です。多くの人から出資を募って、大規模な不動産を購入し、そこから出た利益を投資家に配分する仕組みをとっています。
みんなで大家さん公式説明と特徴
みんなの大家さんの公式ホームページによれば、不動産の賃貸利益を分配する資産運用となっています。
- 低リスクな運用: 株よりも低リスクで、安定した賃貸利益が期待できる
- 手軽なスタート: 預金感覚で始められ、投資家は不動産の管理や手続きを気にする必要がない。
簡単にいうと、みんなでお金を出し合い、良い不動産を買って利益を分け合うという仕組みだね。
投資金額はいくらからですか?
投資金額は1口100万円からとなっているんだ。
100万円⁉大金ですね!
そうなんだ。申込手数料は無料だけど、1口100万円からには
気をつけないといけないね。
想定利回りと他の投資商品との比較
みんなの大家さんの想定利回りは6%から7%といっているけど、本当かな?
今のところは約6%の配当金が支払われているね。
しかし、ずっと続く保証はないので注意が必要だよ。
みんなで大家さんの想定利回りは、6.0%~7.0%です。これは、一般的な不動産投資の利回り(3.0~5.0%)と比べて、高利回りと言えます。
他の投資商品の利回りと比べてみましょう。
投資商品 | 利回り |
---|---|
みんなで大家さん | 6.0%~7.0% |
不動産投資(一般) | 3.0~5.0% |
株式投資 | 7.0%~10.0% |
投資信託 | 3.0%~5.0% |
債券投資 | 0.5%~2.0% |
上記の表からわかるようにみんなの大家さんは、他と比べても利回りが高いですね。ただし、利回りが高いということは、リスクが高いということでもあります。
みんなで大家さんの場合、物件の選定や運用は運用会社が行うため、その会社を信頼できるかが大きなポイントになります。
みんなで大家さんも不動産投資なのになぜ一般の不動産投資と利回りが違うのですか?
良いところに気が付いたね!
一般の不動産投資はほとんどが投資期間1年から2年なんだ。
それに対して、みんなの大家さんは3年から5年の長期投資をして収益を上げているんだよ。
分配金の受け取り頻度と手数料について
みんなで大家さんの分配金の受け取り頻度は、年6回(奇数月の月末)。計算期間は、奇数月(1,3,5,7,9,11月)の1日から翌月末日までの1ヶ月間となっています。分配金の手数料は、無料です。
みんなで大家さんのからくり
みんなで大家さんは利回り6%から7%高利回りのため、からくりがあるのではと噂されていますが、実態はどうなのでしょうか?ここではみんなで大家さんの仕組みについて解説します。
匿名組合契約とは
みんなで大家さんで不動産投資をするには、都市綜研インベストファンド株式会社と匿名組合契約を結びます。
匿名組合契約ってなんだか怪しい響きだけど
どんな契約なんですか?
匿名組合契約とは特定の事業者に資金を提供し、その事業からの利益を受け取ることを目的とする契約のことなんだ。
どんなメリットがあるんですか?
匿名組合契約のメリット
匿名組合契約は以下のメリットがあるんだ。
- 出資者の匿名性が保たれる
- 出資者は営業者の経営に参加する権利を有しない
- 出資者は営業者の債務について連帯責任を負わない
匿名組合契約では、出資者と営業者の2者間で契約を締結するんだ。そのため、契約書には出資者の氏名や住所などの個人情報が記載されないんだよ。
つまり、出資者は自分の名前や住所を営業者に知られずに出資できるんだ。これは、出資者がプライバシーを守りたい場合や、出資先の事業内容を知られたくない場合にはメリットになるね。
出資者は経営に参加できないんですか?
そうなんだ。経営に参加する権利はないんだよ。
経営に参加しなくても利益は受け取れるから、手間をかけずに投資をしたい人にはメリットともいえるね。
また匿名組合契約では、出資者は営業者の債務について連帯責任を負いません。つまり、営業者が倒産した場合でも、出資者は出資額を上限として損失を被ることになります。
これは、逆に言えば上限までは損失を被る可能性があるということなんだよ。
匿名組合契約のデメリット
手間はかからないかもしれないけど、経営に参加できないのは不安だわ。
匿名組合契約を結ぶ前に、信頼できるかどうか調べることが大切になるね。
匿名組合契約のデメリットをまとめると以下のようになります。
- 出資者が営業者の経営に参加できないため、事業の成果を直接コントロールできない
- 株のように売買できない
- 出資者が営業者の債務について連帯責任を負わないため、営業者が倒産した場合に損失を被る可能性がある
経営に参加する権利がないということは
出資者が営業者の経営方針に反対しても
その意思を反映させることはできないということなんだ。
匿名組合契約で投資を行う場合は、営業者の経営方針や事業内容を十分に理解することが大切です。
事業者を信頼できるかどうかが、最重要ポイントです。
株のように売買できないって、解約できないんですか?
解約はできるけど、手数料が出資額に対して1%かかるんだよ。みんなで大家さんの投資期間は原則10年間なので慎重に考える必要があるね。
運営会社の経歴と信頼性
みんなで大家さんは販売がみんなで大家さん販売株式会社、管理・運営が都市綜研インベストファンド株式会社となっています。
都市綜研インベストファンド株式会社は過去に営業停止処分を受けた経緯があります。ここではみんなで大家さんの経歴と信頼性について詳しく説明します。
都市綜研インベストファンド株式会社の経歴
以下に、都市綜研インベストファンド株式会社の沿革をまとめます。
- 1999年7月22日:都市綜研インベストファンド株式会社設立
- 2005年4月:不動産特定共同事業法に基づく特定業務を行う許可を受ける
- 2013年5月23日:大阪府から60日間の業務停止処分を受ける
- 2013年7月23日:業務停止処分解除
- 2024年1月現在:不動産クラウドファンディング業界の最大手として運営を継続
都市綜研インベストファンド株式会社は、1999年7月22日に都市綜合研究所株式会社の不動産投資事業部門として設立されました。
2005年4月に不動産特定共同事業法に基づく特定業務を行う許可を受け、みんなで大家さんシリーズの運営を開始しています。
営業停止所分を受けている
2013年5月に大阪府から約2か月の営業停止処分を受けています。
なぜ、営業停止になったのですか?
簡単にいうと、資産を過大に計上していたんだ。
みんなで大家さんは、不動産投資サービスとして、多くの出資者から資金を集めていたんだ。だけど2013年当時、債務超過状態に陥っていたことが明らかになったんだよ。
そこで大阪府はみんなで大家さんの会計処理に問題があると判断し、営業停止処分としたというわけだね。
営業停止処分になったら、出資していた人たちは困りますよね?
そんなんだ。私の知人もそのとき解約したけど返金が遅れたと言っていたね。
みんなで大家さんはその後、会計処理の見直しや経営体制の強化を図り、その結果2013年12月には、大阪府から営業停止処分の解除を受けたんだけど、一度失った信用を取り戻すのは難しいね。
この業務停止処分は、みんなで大家さんに対する投資家からの信頼を損なうという大きな影響を与えました。また、不動産クラウドファンディング業界全体に対する風当たりも強まったとされています。
運営会社の業務停止処分の経緯
みんなで大家さんの運営会社である都市綜研インベストファンド株式会社は、2013年5月23日に大阪府から60日間の業務停止処分を受けました。
処分の理由は、以下の通りです。
- 未入居の物件を入居済みとして計上
- 売却予定の物件を未計上
都市綜研インベストファンド株式会社が2012年3月期の財務諸表において、資産を約32億円過大計上していました。
この処分を受けて、都市綜研インベストファンド株式会社は、大阪府に報告書を提出するとともに、資産の過大計上を是正し、認可基準に適合させました。
その後、2013年7月23日に業務を再開しています。
なお、都市綜研インベストファンド株式会社は、2024年1月現在、業務停止処分以降に行政処分を受けていないとされています。
みんなで大家さんお勧めしない3つの理由
資産運用のプロとして、私はみんなで大家さんには慎重な姿勢を持っています。それは以下の3つの理由からきています。
- 分配金7パーセントの落とし穴
- 運営会社の信頼性への懸念
- 市場変動に弱い
分配金7パーセントの落し穴
みんなで大家さんの分配金は、原則として利回り7%を目標としています。しかし、分配金には源泉徴収が20.42%課されるため、実質利回りは5.6%程度となります
具体的には、1口100万円の投資で、利回り7%の場合、分配金は年間7万円となります。しかし、源泉徴収で14,294円が引かれるため、実質分配金は55,706円となります。
利回り7%で高いと思われがちだけど、実質は5.6%だということに注意が必要だよ。
したがって、みんなで大家さんに投資する際には、分配金の実質利回り5.6%程度であることを理解した上で、投資判断を行う必要があります。
運営会社の信頼性への懸念
みんなで大家さんの運営会社である都市綜研インベストファンド株式会社は、2013年に大阪府から業務停止処分を受けましたが、この処分は、みんなで大家さんに対する投資家からの信頼を損ないました。
当時、不動産クラウドファンディング業界全体に対する風当たりも強まったね。
一度、不祥事を起こした会社は信用できないな。
信頼を回復するのはなかなか大変だね。
市場変動に弱い
みんなで大家さんは、不動産の賃貸収入から利益を得る投資商品です。そのため、不動産市場の状況によって、運用成績が大きく左右される可能性があります。
投資する不動産も価値を見極めるのは難しいよ。
不動産価格は、景気動向や人口などの影響を受けて
変動するからね。
景気が悪化したり、人口減少が進んだりすると、不動産価格は下落する可能性があります。
また、空室率は地域の経済状況や交通アクセスなどの影響を受けて変動するので地域の経済が悪化したり、交通アクセスが悪化したりすると、空室率は上昇する可能性がありますね。
日本は地震が多いから、不動産投資は怖いわ。
地震もそうだけど、コロナウイルスのような感染症の拡大も不動産価格に影響するよ。
私の知人のAさんの話を紹介しよう。2020年新型コロナウイルス感染症の拡大により、大都市圏の物件に投資をしたAさんは、空室率の上昇により損失を出したんだ。
Aさんは、大都市圏の物件は賃貸需要が高いと考えて投資をしたんだけど、新型コロナウイルス感染症の拡大により、大都市圏の経済状況が悪化したんだね。
その結果、Aさんが投資した物件の空室率は、20%程度まで上昇したそうだよ。Aさんは、空室率の上昇により、分配金の減少や元本の回収が遅れるなどの損失を被ったと言っていたよ。
Aさんの例をみてもわかるように、地域の経済状況や交通アクセスなどの変化は空室率に大きな影響を与えるんだ。
みんなで大家さんに投資をする際には、投資物件について詳しく調べる必要があるよ。
まとめ
みんなで大家さんは利回りが年率7%ほどと高利回りで注目されていますが、過去に営業停止処分を受けるなど経営方針に疑問が残ります。
また出資者に経営に参加する権利はないので、投資している不動産を詳しく調べ信頼できるか注意が必要です。
現状では配当金の未払いはないようですが、運営会社の決算書を確認し運営状況を理解して投資するようにしてくださいね。