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SBI雪だるま全世界株式の評価は?新興国投資のリスクと積立NISAとの相性

「資産形成を始めたいけれど、どのファンドを選べば正解なのか分からない」と悩んでいませんか。特に、SBIの「雪だるま(全世界株式)」は人気がある一方で、eMAXIS Slimなどの競合と比較して複雑な評価がなされることがあります。

本記事では、プライベートバンカーの視点も交え、SBI雪だるまの構造、新興国リスク、そして積立NISAでの適性を徹底的に分析します。この記事を読むことで、表面的なコスト比較だけでは見えない「資産の本質」を理解し、あなたにとって最適な投資判断ができるようになるでしょう。

著者プロフィール

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中村 健

SPJ編集長 資産運用の専門家

シンガポールに長年住んでおり、海外のプライベートバンクを活用した富裕層が行う資産運用、資産防衛に精通している。

世界各国の複数のプライベートバンカーと定期的にミーティングをして最先端の情報や資産運用ノウハウを入手することで、十分な資産所得(リタイアメントインカム)を確保して、悠々自適に暮らしている。

様々な国を旅してきており、訪れた国は45ヵ国を越える。

目次

SBI・全世界株式インデックスファンドとは

資産運用に関心を持つ方であれば、一度は「インデックスファンド」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。SBI・全世界株式インデックスファンド、愛称「雪だるま(全世界株式)」は、その名の通り世界中の株式に分散投資を行い、雪だるま式に資産を増やしていくことを目指す投資信託です。

しかし、単に「世界に投資する」と言っても、その中身や仕組みはファンドによって大きく異なります。まずは基本構造を正しく理解しましょう。

インデックスファンドって何?

インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ値動きを目指す投資信託のことです。例えば、日本の「日経平均株価」や米国の「S&P500」などが代表的な指数です。

アクティブファンドが「市場平均を上回る成績」を目指してファンドマネージャーが銘柄を選定するのに対し、インデックスファンドは「市場そのもの」を丸ごと購入するイメージです。そのため、信託報酬(運用コスト)が低く抑えられ、長期的な資産形成に適しているとされています。

SBI雪だるま(全世界株式)が連動を目指す指数は「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)」です。これは、全世界の大型株から小型株までを含む、市場のカバー率が非常に高い指数であり、世界経済全体の成長を享受するために設計されています。

雪だるまの本当の意味

愛称である「雪だるま」には、投資における最も重要な概念の一つである「複利効果」の意味が込められています。

小さな雪玉を転がし続けると、雪が雪を巻き込み、次第に巨大な雪だるまになっていくように、投資で得た利益(配当や値上がり益)を再投資することで、利益が新たな利益を生み出します。

投資の基本3要素
  • 長期: 時間をかければかけるほど、雪玉は大きくなる。
  • 積立: 定期的に雪(資金)を追加することで、加速させる。
  • 分散: 途中で壊れないよう、芯をしっかり作る(世界分散)。

この3要素をパッケージ化したものが、このファンドのコンセプトです。富裕層が資産を守り増やす際も、この「複利」の力は絶対的な味方として活用されます。

雪だるま(全世界株式)の特徴

このファンドの最大の特徴は、直接世界中の株を買い付けるのではなく、「ETF(上場投資信託)」を通じて間接的に投資を行うという点です。これを「ファンド・オブ・ファンズ」形式と呼びます。

具体的には、世界最大級の運用会社であるバンガード社やステート・ストリート社の以下の3つのETFを組み入れています。

  1. バンガード・トータル・ストック・マーケットETF (VTI)
    • 米国市場全体(大型〜小型株)をカバー
      投資家の間では「これ一本で十分」と言われるほどの傑作ETF
  2. SPDR ポートフォリオ先進国株式(除く米国)ETF (SPDW)
    • 日本や欧州など、米国以外の先進国株式をカバー
  3. SPDR ポートフォリオ新興国株式 ETF (SPEM)
    • 中国、インド、台湾、ブラジルなどの新興国株式をカバー

これらを組み合わせることで、実質的に全世界の株式市場の約98%をカバーするポートフォリオを構築しています。特に、米国のVTIを中核に据えている点は、多くの投資家にとって魅力的なポイントと言えます。

SBI雪だるまの魅力

数ある投資信託の中で、なぜ「SBI雪だるま」が注目されるのか。その魅力は、長期投資における堅実性と、通常は購入に手間がかかる優秀な米国ETFを手軽に保有できる点にあります。

ゆっくりだが着実に資産を積み上げる

資産運用において「一発逆転」を狙うのは投機であり、投資ではありません。SBI雪だるまは、世界経済の成長に合わせて、ゆっくりと、しかし着実に資産を積み上げる設計になっています。

世界経済は、短期的にはリーマンショックやコロナショックのような暴落を経験しますが、長期的には人口増加や技術革新により右肩上がりで成長を続けています。このファンドを保有することは、世界中の企業が生み出す利益の分け前を受け取る権利を持つことと同義です。

日々の値動きに一喜一憂するのではなく、10年、20年というスパンで資産形成を行う「農耕型」の投資スタイルに適しています。

これは、すでに資産を築いた富裕層が、資産を目減りさせないために行う「守りの運用」の第一歩とも共通する考え方です。

米国ETF(VTI・SPDW・SPEM)への間接投資メリット

本来、米国のETF(VTIなど)を直接購入しようとすると、以下のようなハードルがあります。

米国ETF購入のハードル
  • 為替手続き: 日本円を米ドルに換える必要がある。
  • 購入単位: 1株単位での購入が必要で、定額積立(例:毎月3万円きっかり)が難しい。
  • 再投資の手間: 配当金が出るたびに、自分で再投資の手続きをしなければならない。
  • 確定申告: 外国税額控除などの税務処理が必要になる場合がある。

SBI雪だるま(全世界株式)を購入することで、これらの手間をすべて運用会社にお任せできます。円のまま少額から投資でき、配当金は自動的にファンド内で再投資され、複利効果を最大化します。

特に、米国株式市場のほぼ100%をカバーする「VTI」は、経費率が極めて低く、パフォーマンスも優秀なため、世界中の投資家から支持されています。このVTIをポートフォリオの核として自動積立できる仕組みは、非常に合理的かつ強力なメリットと言えます。

プロが見る「雪だるま」の評価と資産防衛

ここからは視点を一段上げ、プロフェッショナルな視点でこのファンドを評価します。一般的には「手数料が安いから良い」とされがちですが、構造的な側面を見ると、必ずしも万能ではない側面が見えてきます。

ファンド・オブ・ファンズ形式のメリット・デメリット

SBI雪だるまは、実は少し変わった仕組みをしています。これを専門用語で「ファンド・オブ・ファンズ」と言いますが、簡単に言うと投資信託という『箱』の中に、さらにETFという『別の箱』が入っている状態のことです。

通常の投資信託(例えば、eMAXIS Slimなど)は、運用のプロが直接「トヨタ」や「アップル」といった企業の株を買います。 しかし、SBI雪だるまは、直接株を買うのではなく、「アメリカで売られている超優秀な株の詰め合わせパック(ETF)」を買ってきて、それを私たちに届けてくれるのです。

この仕組みには、メリットとデメリットの両方があります。

メリット

世界最高峰のパックを「手軽」に買える 。
中に入っている「詰め合わせパック(ETF)」は、世界最大級の運用会社(バンガード社など)が作った、非常にコストが安くて優秀なものです。 本来なら、私たちが自分でドルを用意してアメリカから買わなければならないこの優秀なパックを、SBIが代わりに買ってきてくれるおかげで、日本円で手軽に買えるようになります。

デメリット①

手数料の「二重払い」
「箱の中に箱がある」ため、どうしてもコストが重なります。

  1. 中に入っているETFを作った会社への手数料
  2. それを日本で管理してくれるSBIへの手数料

この2か所に手数料を払う必要があります。とはいえ、中身のETFが激安なので、合計しても手数料はかなり安く抑えられています。

デメリット②

税金の「関所」が多い(三重課税)
これが少し厄介な問題です。利益が手元に届くまでに、税金を取られる「関所」が多くなってしまうのです。

  • 通常の投資信託(eMAXIS Slimなど)
    世界の企業 → [関所1:現地の税金] → [関所2:日本の税金] → 私たち
  • SBI雪だるま(米国ETF経由)
    世界の企業 → [関所1:現地の税金] → [関所2:アメリカの税金(10%)] → [関所3:日本の税金] → 私たち

このように、間に「アメリカ」という経由地を挟むため、そこで一度、配当金から税金(約10%)が引かれてしまいます。これを「三重課税」と呼びます。 NISA口座を使うと日本の税金はゼロにできますが、この途中の「アメリカの税金」までは取り返せません。その分だけ、ほんの少しですが利益が減ってしまうのが弱点です。

eMAXIS Slim(オルカン)に劣ると言われる理由を分析

現在、インデックスファンドの王者は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」です。多くの比較記事で「雪だるまよりオルカンの方が良い」とされる主な理由は以下の通りです。

オルカンの方が良いとされる理由
  1. 指数の違い
    • オルカン: MSCI ACWI(大型・中型株のみ)。小型株を含まない
    • 雪だるま: FTSEグローバル・オールキャップ(小型株も含む)
      一般的に小型株を含む方が分散効果は高いですが、運用コストやトラッキングエラー(指数とのズレ)が大きくなりやすい傾向があります。
  2. 実質コストとトラッキングエラー
    SBI雪だるまは、目論見書上の信託報酬は最安クラスですが、実際の運用報告書を見ると「実質コスト(隠れコスト)」がオルカンよりやや高くなる傾向が過去に見られました。また、3つのETFを組み合わせて指数に連動させる運用は難易度が高く、指数からの乖離(トラッキングエラー)がオルカンよりも大きくなりやすい点が指摘されています。
  3. ベンチマークとの乖離
    ETFを利用する構造上、配当金に対する米国課税分のロスなどにより、ベンチマークであるFTSE指数に対してパフォーマンスが劣後しやすい構造的課題があります。

富裕層の資産防衛の観点では、「コストの透明性」と「運用の確実性」を重視します。その点において、ファミリーファンド方式で自社運用を行い、税務効率も最適化されているオルカンの方に、現時点では軍配が上がると見るのが冷静な評価です。

それでもSBI雪だるまを選ぶべき人とは?

では、SBI雪だるまは選ぶ価値がないのでしょうか?答えはNOです。特定のニーズを持つ投資家にとっては、オルカンよりも魅力的な選択肢となり得ます。

先進国株式と新興国株式の違い

SBI雪だるまの構成比率は、概ね「米国を含む先進国:約90%」「新興国:約10%」となっています。

  • 先進国
    法整備が整い、政情も安定しているため、リスクは比較的抑えられているが、爆発的な経済成長は期待しにくい。
  • 新興国
    人口増加やインフラ整備による高成長が期待できる反面、政治リスクや通貨危機のリスクが高い。

SBI雪だるまは、この両方を時価総額加重平均(市場の大きさに応じた比率)で自動的に保有します。特に、SPEM(新興国ETF)を通じて、今後成長が見込まれるインドや東南アジアの成長を取りこぼさない設計になっています。

新興国「雪だるま」単体と全世界株式のどちらが良いか?

SBIには「雪だるま(新興国株式)」という、新興国のみに投資するファンドも存在します。 「これからの成長は新興国だ!」と考え、新興国単体のファンドを厚めに保有したいと考える方もいるでしょう。

しかし、資産防衛の観点からは、「全世界株式」一本に絞る方が合理的です。なぜなら、もし新興国が大きく成長して世界のメインストリームになれば、リバランス機能により、全世界株式ファンドの中で自動的に新興国の比率が高まっていくからです。

自分で「先進国◯%、新興国◯%」と決めてポートフォリオを組むのは、メンテナンスの手間がかかる上に、個人の予測が外れた時のダメージが大きくなります。市場の自動調整機能に任せるのが、賢明な投資家の態度です。

経費率の理解

SBI雪だるまを選ぶべき最大の理由は、「VTI(全米株式)への信頼」と「小型株へのアクセス」です。

eMAXIS Slim(オルカン)は、AppleやMicrosoftなどの大型・中型株が中心で、小型株は含まれません。一方、SBI雪だるまはVTIを通じて米国の小型株まで網羅しています。そのため、SBI雪だるまの方がオルカンよりも経費率(信託報酬以外の経費の割合)が高くなる訳です。

しかし、歴史的に見れば、小型株は大型株よりも高いリターンを生む「スモールキャップ・プレミアム」が存在すると言われています。

「米国市場を隅々まで(小型株まで)カバーしたい」かつ「世界分散もしておきたい」というこだわりを持つ投資家にとって、SBI雪だるまは非常に理にかなった選択となります。経費率のわずかな差以上に、投資対象の広さに価値を感じるかどうかが判断の分かれ目です。

積立NISAで「雪だるま」を選ぶ際の注意点

長期非課税制度である「新NISA(つみたて投資枠)」でSBI雪だるまを採用する場合、以下の点に注意が必要です。一度積み立て設定をすると、数十年そのまま放置することも多いため、慎重な判断が求められます。

手数料やベンチマークの差を理解

前述の通り、表面的な信託報酬だけでなく、実質コストに目を向ける必要があります。SBI雪だるまは、運用報告書などで確認できる実質的なコストが、競合他社に比べて若干高振れすることがあります。

数十年という期間で複利運用する場合、年率0.0数%のコスト差は、最終的に数万円〜数十万円の差になって現れます。「SBI」というブランドだけで選ぶのではなく、コスト構造を理解した上で納得して投資することが重要です。

SBI雪だるまのデメリットを知る

NISA口座で運用する場合、国内での運用益に対する税金(約20%)は非課税になります。しかし、ファンド内部で発生する米国ETFからの配当に対する米国課税(10%)は取り戻すことができません。

通常、課税口座であれば「外国税額控除」という仕組みで二重課税の一部を取り戻せますが、NISA口座ではこの手続きができません。つまり、SBI雪だるまのような「米国ETFを買うタイプの投資信託」は、NISA口座においては、配当金への課税分だけ不利になる構造的な弱点(タックス・ドラッグ)を持っています。

トラッキングエラー

インデックス投資の生命線は「指数といかに同じ動きをするか」です。SBI雪だるまは、3つのETFを組み合わせて擬似的に全世界指数を作っているため、純粋な指数の動きとズレが生じやすい(トラッキングエラーが大きい)傾向があります。

「指数が上がっているのに、自分のファンドはそれほど上がっていない」という事態が起こり得ることを許容できるかどうかがポイントです。精密な連動性を求めるなら、現時点では他社商品の方が精度が高いと言わざるを得ません。

投資信託だけで資産防衛は完了しない

今回はSBI雪だるま全世界株式について、その構造やメリット・デメリットを詳しく解説しました。このファンドは、米国のVTIを組み入れるというユニークな特徴を持ち、全世界の小型株までカバーできる優秀な商品であることは間違いありません。これから投資を始める方にとって、有力な選択肢の一つです。

しかし、最後に一つだけお伝えしたい重要な真実があります。それは、「投資信託を買うこと=資産防衛の完了」ではないということです。

インデックスファンドはあくまで「資産を増やすためのエンジン」の一つに過ぎません。真の富裕層は、公募の投資信託だけでなく、税制を有利に活用した法人での運用、海外プライベートバンクを通じた債券運用、あるいは不動産など、より多角的な視点で資産を守る要塞を築いています。

「雪だるま」で資産を増やすことは素晴らしいスタートですが、増えた資産をどう守り、次世代へどう繋ぐか。そのノウハウは、ネット上の一般的な記事には決して出てきません。

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