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暗号資産は損益通算できる?税金面での注意点を知っておこう

暗号資産取引をする方にとって、税金は避けて通れない問題の一つといえるでしょう。特に「損益通算」について正しく理解している人は意外と少ないのが現実です。

「ビットコインで損失が出たから、他の投資の利益から差し引けるよね?」なんて考えている方も多いかもしれません。でも実は、暗号資産の税金ルールは株式投資とは大きく異なるんです!

この記事では、損益通算の基本から暗号資産特有の税金ルールまで、初心者でもわかりやすく解説していきます♪ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

暗号資産について、初心者向けの解説はこちらの記事にまとめています。初めての方はこちらから読んでみてくださいね。

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著者プロフィール

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中村 健

SPJ編集長 資産運用の専門家

シンガポールに長年住んでおり、海外のプライベートバンクを活用した富裕層が行う資産運用、資産防衛に精通している。

世界各国の複数のプライベートバンカーと定期的にミーティングをして最先端の情報や資産運用ノウハウを入手することで、十分な資産所得(リタイアメントインカム)を確保して、悠々自適に暮らしている。

様々な国を旅してきおり、訪れた国は45ヵ国を越える。

目次

そもそも損益通算とは?

損益通算とは、1年間に発生した利益と損失を相殺して、税金の負担を軽くできる制度のことです!

具体的には、ある投資で100万円の利益が出ても、別の投資で50万円の損失があれば、100万円-50万円=50万円が課税対象になるという仕組みです。つまり、損失分だけ税金を安くできるというわけですね。

例えば、株式投資で得た利益が50万円あっても、別の株式で15万円の損失があった場合、損益通算により35万円が課税対象となります。このように、投資で出た損失を有効活用できるのが損益通算の大きな特徴なんです!

ただし、全ての所得で損益通算ができるわけではありません。損益通算できる所得は以下の4つに限られています。

  • 不動産所得:土地や建物の貸付けなどによる所得
  • 事業所得:各種事業を営むことによる所得
  • 譲渡所得:土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによる所得
  • 山林所得:山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡したりすることによる所得

一方で、給与所得、利子所得、配当所得、一時所得、そして雑所得については、損益通算の対象外となっています。

損益通算するメリット

この章では損益通算のメリットを詳細に紹介します!

税負担を軽くできる

損益通算の最大のメリットは、なんといっても税負担を軽減できることです!

投資を複数行っている場合、一つの投資で利益が出ても別の投資で損失が発生することは珍しくありません。損益通算を活用すれば、利益から損失を差し引いて課税対象額を減らすことができるため、結果的に支払う税金を少なくできるんです。

例えば、株式投資で年間100万円の利益があったとしても、投資信託で30万円の損失があれば、損益通算により課税対象は70万円に圧縮されます。これにより、本来100万円の利益に対してかかるはずだった税金よりも、大幅に税額を減らすことができるというわけです♪

証券口座を複数持っている場合でも損益通算は可能です。A証券で利益が出ていても、B証券で損失があれば、確定申告時にこれらを合算して計算できます。

繰越控除と組み合わせればさらに節税可能になる

損益通算をしてもまだ損失が残る場合には、「繰越控除」という制度を活用できます!

繰越控除とは、その年に控除しきれなかった損失を翌年以降に繰り越して、将来の利益から差し引ける制度のことです。株式投資の場合、最大3年間にわたって損失を繰り越すことができます。

繰越控除の具体例
  • 2024年:株式投資で100万円の損失
  • 2025年:株式投資で60万円の利益

この場合、2024年の損失100万円を2025年に繰り越して、60万円の利益と相殺できます。結果として2025年の課税対象は0円となり、まだ40万円の損失が残るため、2026年にも繰り越すことが可能です。

この繰越控除により、中長期的な視点での節税効果が期待できます。一時的な損失を将来の利益と相殺することで、トータルでの税負担を大幅に軽減できるのです!

ただし、繰越控除を利用するためには毎年確定申告を行う必要があります。申告を怠ると繰越控除の権利を失ってしまうため、注意が必要です。

暗号資産は他の所得との損益通算はできない

残念ながら、暗号資産で発生した損失は、給与所得や事業所得など他の所得との損益通算はできません!

なぜかというと、暗号資産の取引で得た利益は「雑所得」に分類されるからです。雑所得は、計算上損失が生じることがあっても、他の所得から控除することはできないという特徴があります。

損益通算ができない場合の具体例
  • 会社員のAさんが年収800万円
  • 暗号資産取引で100万円の損失

この場合、Aさんは暗号資産の損失100万円を給与所得800万円から差し引くことはできません。つまり、給与所得800万円に対してそのまま税金がかかってしまうということです。

ただし、暗号資産同士での損益通算は可能です!例えば:

  • ビットコインで50万円の利益
  • イーサリアムで30万円の損失

この場合、50万円-30万円=20万円が課税対象となります。

また、同じ雑所得に分類される副業収入がある場合は、損益通算できます。例えば、アフィリエイト収入20万円がある場合、暗号資産の損失と相殺することも可能です。

しかし、暗号資産の損失が他の雑所得を上回った場合、超過分の損失は消えてしまいます。株式投資のように翌年に繰り越すこともできないため、この点は大きなデメリットと言えるでしょう。

知っておくべき暗号資産の税金面でのデメリット

一般的に、日本では仮想通貨の投資環境が恵まれているとは言われていません。その一因が税金面でのデメリットです。この章ではデメリットを詳しく解説します。

株などに比べて税率が高い

暗号資産の税金で最も注意すべきなのが、株式投資に比べて税率が圧倒的に高いということです!

株式投資やFXの場合、利益に対して一律20.315%の税率が適用されます(申告分離課税)。しかし、暗号資産の場合は給与所得などと合算して計算される「総合課税」が適用されるため、所得が増えるほど税率も高くなる累進課税となっています。

所得税の税率は以下のようになっています:

課税所得金額税率
195万円以下5%
195万円超~330万円以下10%
330万円超~695万円以下20%
695万円超~900万円以下23%
900万円超~1,800万円以下33%
1,800万円超~4,000万円以下40%
4,000万円超45%

さらに住民税10%も加わるため、最高税率は55%にもなってしまいます!

例えば、暗号資産で1,000万円の利益を得た場合:

  • 株式投資なら:1,000万円×20.315%=約203万円の税金
  • 暗号資産なら:最大で1,000万円×55%=550万円の税金

この差は歴然ですよね…。所得が多い人ほど、暗号資産の税負担は重くなってしまうのが現実です。

繰越控除ができない

暗号資産のもう一つの大きなデメリットが、損失の繰越控除ができないことです!

株式投資では、損失が発生した場合に最大3年間にわたって損失を繰り越し、将来の利益と相殺できます。しかし、暗号資産の場合は雑所得のため、この繰越控除が一切適用されません。

繰越控除の具体例

株式投資の場合

  • 2024年:100万円の損失
  • 2025年:80万円の利益
    → 損益通算により2025年の課税対象は0円、残り20万円は2026年に繰越可能

暗号資産の場合

  • 2024年:100万円の損失(この損失は消滅)
  • 2025年:80万円の利益
    → 80万円がそのまま課税対象となる

このように、暗号資産では前年の損失を活用できないため、年ごとに損益が独立して計算されてしまいます。これは投資家にとって非常に不利な制度と言えるでしょう。

課税される対象が広い

暗号資産の税金で注意すべき点の3つ目が、課税対象が非常に広いということです!

多くの人は「暗号資産を売却したときだけ税金がかかる」と思いがちですが、実際にはもっと多くの場面で課税されます。

課税されるタイミング:

  1. 暗号資産を日本円に売却した場合
  2. 暗号資産同士を交換した場合
  3. 暗号資産で商品やサービスを購入した場合
  4. ステーキングやマイニングで暗号資産を得た場合
  5. レンディングで利子として暗号資産を得た場合

特に注意が必要なのが、暗号資産同士の交換です。例えば、ビットコインでイーサリアムを購入した場合、日本円を介していなくても課税対象となります。

具体例:

  • 100万円で1BTCを購入
  • その後、そのBTCが120万円相当のETHと交換
    → この時点で20万円の利益が課税対象となる

つまり、実際に日本円が手元に入っていなくても税金が発生してしまうんです!この点を理解せずに頻繁に暗号資産同士の交換を行っていると、気付かないうちに多額の税金が発生している可能性があります。

また、エアドロップ(無料で暗号資産を受け取ること)でも、受け取った時点での時価相当額が課税対象となります。「無料でもらったのに税金がかかる」というのは驚く方も多いでしょう。

このように、暗号資産は想像以上に広い範囲で課税される可能性があるため、取引を行う際は十分な注意が必要です!

暗号資産は、今後も市場規模の拡大が見込める投資対象といえます。暗号資産の将来性に関してはこちらの記事にまとめていますよ。

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税金面も踏まえて自分に合った資産運用を見つけよう

この記事では、暗号資産の損益通算について詳しく解説してきました。

損益通算は本来、投資家の税負担を軽減するための重要な制度ですが、残念ながら暗号資産は他の所得との損益通算ができません。また、株式投資と比べて税率が高く、繰越控除もできない、さらに課税対象が広いなど、税金面でのデメリットが多いのが現状です。

ただし、同じ雑所得内での損益通算は可能であり、暗号資産同士の損益を相殺することはできます。暗号資産投資を行う際は、これらの税制上の特徴をしっかりと理解し、事前に納税資金を確保しておくことが大切です。

将来的には税制改正により、暗号資産も株式投資と同様の申告分離課税が適用される可能性もありますが、現時点では厳しい税制が適用されていることを念頭に置いて投資判断を行いましょう!

資産運用は考えることが多く、そして人それぞれに適した運用方法があります。そして、それを判断することはとても難しいです。

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